素朴集合論の教科書.
関係ないが,私は「素朴集合論」を「前期集合論」とよびたいとそれとなく思っている.量子論の「前期量子力学」になぞらえるのと,「公理的集合論」に対する言い方として.
以下に挙げるオススメは,私が集合論を書くときによく参考にしたものの中で,新刊で手に入る本だ.
一冊目に挙げるのはこれ.
「むすび」で素朴集合論で生じる矛盾とクラスについての記述が,「付録」で公理的集合論(BGの体系)についての記述がある.
内容とは関係ないが,時折出てくる「しからば 〜」という表現が妙に気に入っている.
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集合論の教科書の定番としてよく挙げられるのがこれ.
私の書いた「集合論」はこれを底本にした.
所々,不必要に詳しく書いてあるのに,定理の証明は読者に丸投げするなど,記述の落差が激しい.
一通りの項目について書かれてあるので,集合論の教科書としてよく挙げられるのだと思うが,私のレベルの者が読もうとすると,本書で省略された証明を探して副読本が数冊必要だった.
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執筆中,これもよく参考にした.
上記【松坂】と比較すると,簡潔に書かれているという印象.【松坂】の妙にくどい説明は見当たらない.
順序集合についての記述はあるが,順序数についての記述はない.
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これは少し毛色の違う集合論の教科書.
「普通」の素朴集合論の教科書になれていると,戸惑うかもしれない.前書きにある「理論の構築過程を見せる」という著者の立場がそうさせているような気がする.
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素朴集合論と公理的集合論の隙間を埋めてくれる教科書.
パラパラと見た程度なので,詳しいことはかけないが,最後の頁に「選択公理を仮定しないと集合論はどうなるか」について簡単な記述がある.
もう一つ,私の書いた集合論.
PDF版(DLmarket)→ 【集合論(数学で行こう)第9.2版】
自分で「集合論」の教科書を書いた理由を書き始めると長い「ぼやき」になってしまうので,ここでは割愛する.ぼやきのエントリーはここ→ 集合論の本(冊子)を書いた
内容の特徴を一つ挙げるなら,それは「定理・命題の証明を省略せずにすべて書いた」という点である.
見た目の特徴を一つ挙げるなら,それは「本文がほとんど無く,その代わりに補足で埋めた」という点だ.
「集合論」の教科書は「位相」とセットになっている場合が多いが,「集合と位相」というタイトルの教科書の大半は「位相」メインになっていると思う.
ここには挙げなかったが,他にも多くの集合論の教科書がある.少し古い教科書になると,品切という名の事実上の絶版状態にあるものも多い.電子書籍で復活させる・オンデマンドでの販売にするなど,方法はあるはずだが,出版社の動きは重すぎて,話にならない.
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しかし,オススメと言いつつ,紹介文が全然オススメになっていない点は見逃して欲しい.集合論の教科書に関しては,前向きな見方ができない身体になってしまっているのだ.
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