上江洲忠弘「集合論・入門」

いつもより調子が上がっているかもしれない.

(集合論の部分を読んでみて…,と書こうとしたが,これは集合論の教科書であることに気づく)

◆集合の相当性とは

「集合の相等性」の定義について,「しばしば見かける定義ではまずい」と書いている.

「しばしば見かけるマズイ『集合の相等性』の定義」は,どう修正されるべきかについて,どこをどう読んでも書かれていないように見えるのは,私の読解力の不足なのだろうか.

よく読めば,「相等性の公理」を認める必要がある,ということのようだ.

「微分積分学の教科書では,筆者の好意により『相等性の公理』は成り立つものとしてあげるからOKです.でも『集合の相等性』の定義などクソですよ.だって集合論の教科書にはどこにも『相等性の公理』が成り立つって書いてないんだもん」と言いたいのだろう.

微分積分学では好意的に,集合論では敵対的にということらしい.

節のタイトルに「集合の相等性」と書きつつ,書いてあるのは「相等性の公理」である.

「相等性の公理」を認めても,「しばしば見かける集合の相等性の定義」はマズイのだろうか.そのあたりのことは何も書かれていない.

「しばしば見かける『集合の相等性』の定義」がマズイのではなく,「相等性の公理」を前提としなければ,マズイ場合があると言うことだ(と私は解釈した).一見当たり前に見える命題が証明できない.

しかしながら「微分積分学の教科書では当然成り立つものとしているはず」と書いているのだから,「集合論の教科書でも当然成り立つものとする」のが自然だろう.

言いたいこととに対して,文章の構成がちぐはぐで,そのことのほうがマズイ.

「しばしば見かける『集合の相等性』の定義」に「等しい」という単語があることを問題にしているだけのようにも思える(私の頭では).

「外延性の公理」には「等しい」という単語はなく,「集合の相等性」の定義には,それがある.

「外延性の公理」の文言に「等しい」という単語を加えれば,それは「しばしば見かける『集合の相等性』の定義」である.そして,それはマズイ(私の読解力では,そういうことのように思える).

集合 \(A,\,B\) が \(A=B\) であるとき,「集合 \(A\) と集合 \(B\) は等しい」といってはいけないのだろうか?

「しばしば見かける『集合の相等性』の定義」に「相等性の公理」を追加すれば,それでいいのだろうか,それでもダメなのだろうか?

「外延性の公理」を認めれば,「相等性の公理」は仮定しなくてもいいのだろうか,仮定すべきなのだろうか?

「外延性の公理」と「しばしば見かける『集合の相等性』の定義」の違いは? 関係は?

まとめると,「集合の相等性の定義はマズイから,相等性の公理である.だからといって,集合の相等性の定義ってナニ?」ということである(違).

http://www.ma.kagu.sut.ac.jp/~abe/sub2.htmlも読んだが,「しばしば見かける『集合の相等性』のマズさ」が何を指すのかわからないでいる)

「集合の相等性」の節だけでいいので,私にわかるように書き換えてくれないだろうか.

 

 

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コメント 返信は期待しないよーに

  1. takanori より:

    激しく同意
    私も疑問点が同じです。

    • タナカ より:

      takanori さん

      「それな」といってくれる方がいてよかった(笑)
      ほんと,あの部分ははっきりさせて欲しいなと思っています.

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